【泳ぎそして想う】競泳元ヘッドコーチ・平井伯昌 「金の器」を育てる

2021/9/9:コーチのエッセー「【泳ぎそして想う】競泳元ヘッドコーチ・平井伯昌 「金の器」を育てる」が掲載されています。

 
指導に正解はない、と今でも思う。前回のリオデジャネイロ五輪から5年の間、私自身には多くの葛藤や迷いがあった。迎えた東京五輪。周りに手応えを聞かれ、そっと自分の胸に問うても、最後の最後まで結果の予測はできなかった。

「金の器」とはなにかと問われれば、私は「才能」+「学習能力の高さ」ではないかと考える。例えば、競技会でメダリストになったとしたら、メダリストから逆戻りしない。トップの環境や場所をすぐに自分のものにし、その土俵で戦い続けることができる人だ。そんな選手には共通して、困ったら「教えてください」と素直に聞ける耳がある。だからこそ周囲が、真の「金の器」に育てていくという側面もある。

そんな今は、この経験を次の選手につなげていくというより、これまでとは異なる新しい方法で、次の選手を育てたいという気持ちの方が強い。この10年続いた「選手の成長を待つ」やり方ではなく、こちらから積極的に手を出して伸ばしていくイメージだ。

今後も日本水泳界をサポートしていきたい。考えていること、そしてやりたいことはまだまだある。

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